最高裁がまとめた2017年の個人の自己破産申立件数(速報値)は、前年比6・4%増の6万8791件で、2年連続で増えた。伸び率は16年(1・2%増)から大幅に拡大した。自己破産は16年から前年比増加に転じ、ペースが上がっている。ここ数年で貸し出しが急増した銀行カードローンの影響もあるとみられる。
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弁護士会の意見書の内容
また、債権者の属性が登録貸金業者の割合が減少し、保証会社の割合の増加が明らかであるから、多重債務の問題が再燃するのではないかという懸念を抱いているということのようです。
意見書の根拠としていたのが『2014年破産事件及び個人再生事件記録調査』です。
意見書の違和感
多重債務問題の再燃について
意見書には多重債務問題の再燃を懸念するとして過剰な貸付は問題であるとし、『破産事件における債権者の属性については,登録貸金業者が67.51%(2008年)から45.47%(2014年)へと減少しているのに対し,保証会社が6.33%(2008年)から15.10%(2014年)へと増加している。』と述べています。
ですが、貸金業者からの規制を行っているのだから、貸金業者から借入率が減るのは当たり前だと思いますし、まるで保証会社の割合だけが増加しているような書き方をしていますが、税金・社会保険、医療関係などその他の債権者属性も軒並み増加しています。貸金業者が減っただけで、保証会社が増えたわけではないと思います。
多重債務問題の再燃のおそれを語るのであれば、債務者1人当たりの債権者数を書くべきなのではないかと思います。ちなみに債権者数は2008年段階では債務者1人に対して12.12人だったのが、2014年には6.76人にまで減少しています。
総量規制
弁護士連合会の意見書ではこの点をあげ、年収の3分の1以上の貸付をするなと指摘していますが、その結果低額での破産者の比率が増加しています。
違う要因の検証はされたのか?
破産者の増加という最高裁の速報値と日本弁護士連合会の意見書をもとに原因を指摘していますが、もう少し細かな検証が必要ではないかと思います。
一見説得力があるようですが、都合の良い数字を拾い上げて記事にしているよう見えてしまいます。
自己破産件数にはおそらく住宅ローン破産者も含まれているでしょうから、「カードローンで破産者が増加している原因ではないか」と書いてしまうのは少し乱暴ではないかと思います。
結局は返済額が滞る状況を生んでしまうことが問題なのであって、金額云々というのはそれほど大きな要因ではないと思います。
金融教育しかないのではないか
まずは借り主へのお金の教育が出来ていないことには借入できる額が減ろうが増えようが最終的には破産をしてしまう人は破産してしまうと思います。
まとめ
破産の原因はカードローンだけではありません。まるで借金ではないと言った感じで借りられている住宅ローンも破産者の数も非常に多いです。しかも近年、低金利で一件についての借入額が上がっています。個人的には今後景気回復を実感できないと感じている人が住宅ローンを借りていることは非常に危険だと思っています。
弁護士連合会が本気で破産をなくそうと思えば、債権額が上がり続ける住宅ローンのリスクについてもきちんと意見書を提出すべきだと思います。
⇒『破産はカードローンより住宅ローンの方が深刻だと思う理由?』
借金はどんな借金であっても、返済ができなくなれば破産や民事再生という手段を取らなければならないのです。