政府はこの数日が低い開業率につながると判断したようで、成長戦略として1日で会社が設立できるようにすることを目指すようです。
政府は、株式会社の設立にかかる期間を今の10日から1日に短縮できるようにする方向で最終調整に入った。登記に必要な公証人による定款のチェックを、今の直接面談からスマホやパソコンでも受けられるようにオンライン化する。手続きを簡素化して起業を促す狙いで、6月にまとめる新たな成長戦略に盛り込む。関連法の改正も検討する。
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認証されていない定款で登記申請
記事を読む限りでは今後は定款の認証と設立登記を同時に進めることで時間を短縮するということです。
法務局は認証されていない定款で登記手続きをすすめるということなるのか、それとも定款認証を法務局が変わって公証人に行ってくれるのかは記事だけではあまりよくわかりませんでした。
どちらにしても司法書士や行政書士などのプロの人が作るのであれば問題は起こらないと思いますし、簡素化は進むと思います。
ですが会社の設立登記は素人の方が行うことが非常に多い手続きなのでおそらく問題が山積みになるのではないかと思います。
株式会社を設立したいを考えている人の多くは出来る限り出費を抑えたいと考える人が多いです。その結果、登記費用を節約するために自分でやろうと考える人が多いんですよね。
10日の根拠
10日を1日でということですが、そもそも10日と言うのは何を根拠に記載されているのでしょうか。公証人の認証で7日もかかるのかは少し疑問ですし、登記の完了も早ければ1日で上がることもあるので、3日としている点にも疑問を感じます。
見直し案ではすべてを合わせて1日としていますが、公証役場との確認はどのように短縮するつもりなんでしょうか。また、登記も結局、手続き業務なのでAI化などで自動化しない限り短縮は出来ないのではないかと思います。
書類の準備のほうが時間がかかる
公証人の認証や設立の登記に時間がかかるということでこのような書き方をしているのだとは思いますが、公証人の認証や設立登記以上に書類を作成したり集めることの方が大幅に時間がかかります。簡素化したいというのであれば、手続きに必要な書類を簡略化すべきだと思います。
入金履歴を確認するために記帳した通帳のコピーを添付させているんですから、添付書類はまだまだ減らせると思います
合同会社で設立は短縮できる
法人は株式会社だけではありません。合同会社という株式会社の簡素版の会社があります。多少の違いはあれど法人格を取得して会社として活動できることに大きな差はありません。
合同会社では設立時に定款の認証が必要ないため、朝日新聞の記事に書かれている1週間は省略することが可能です。
しかも今では多くの大企業が合同会社を設立して知名度も急上昇しています。株式会社の手続きを簡素化するよりも合同会社が簡単に設立できることを広く広めることのほうが効果的だと思います。
考えるべきは認証の必要性
こんなことをするのであれば、株式会社の設立時の定款認証の必要性を考えるべきではないかと思います。
先程も書きましたが合同会社では定款の認証を必要としません。つまり法人格を確立させるためには認証は重要視されていないのです。
株式会社は設立登記を申請する際は公証人に認証された定款が必要となりますが、その後は認証された定款を添付する必要がありません。
社内で株主総会を開き定款を変更したとしても新たに定款認証を得る必要性がないのです。設立するときだけに必要となる定款の認証がそもそも必要なのかという議論をするほうがより建設的で発展的な議論ができるのではないかと思います。
政府のポイントは税金を下げないこと
法人税や設立登記費用を下げるほうが効果があるという意見を目にしますが、まさにそのとおりだと思います。ですが、政府としては改正での重要なポイントとして会社1つあたりの税率を落とさないことが大前提としてあるのだと思います。
評価すべき点
設立登記の効力発生日は設立登記を申請した日になります。
相談無しで設立がほぼ確実に可能な資格者に頼むということであれば、ある一定の成果は出るのではないかと思います。
まとめ
数日かかったものが一日で出来るようになったから会社を起こそうと考える人なんていないと思います。起業をする人はたとえ1ヶ月かかろうが手続きをこなすでしょう。
はっきり言って、成長戦略として盛り込むという内容が本当であればまったくもって無意味な成長戦略だと思います。
まだ具体的な中身が見えていないので、全面的に否定は出来ませんが、マイナンバーを導入してからちっとも運用されずに登記システムが改善されていないことは大問題だと思います。
むしろ最近は本人確認証が重要視されて本人確認証明書という書類までつけさせるように変わっているので、書類は増える一方です。
どのように成長戦略につなげていくのかは注目しておきたいと思います。