合同会社を設立する外資系企業に多い理由

会社といえば株式会社か有限会社を多くの人がイメージすると思います。でもすでに有限会社は新しく作ることってできないんですよね。

10年前ほど前に法律が変わり、有限会社が作れなくなった代わりに『合同会社』という新しい形態の会社を作ることができるようになりました。

⇒『株式会社と合同会社の違いの大まかな解説

合同会社が登場してから10年以上になるのですが、その割にはとても知名度が低いと思います。

ですが、外資系企業は合同会社に目をつけて、今ではかなりの数の会社が合同会社を設立しています。



合同会社として存在する外資系企業の一例

合同会社を説明する場合によく個人商店の延長戦という表現が使われるのですが、実際はとても大きな会社も利用している会社の形態なのです。
  • アップルジャパン
    正式名はApple Japan合同会社。 2011年に有限会社アップルジャパンホールディングスを組織変更し設立されました。
    ちなみに有限会社時代にカタカナだったのは商業登記法上アルファベットが登記できなかったからです。
  • アマゾンジャパン
    正式名はアマゾンジャパン合同会社。2016年にアマゾンジャパン株式会社とアマゾンジャパン・ロジスティクス株式会社が合併したのち、組織変更がされ合同会社として誕生しました。アマゾンジャパン株式会社は1998年に設立されています。意外と昔からある会社だったのですね。
  • ワーナーブラザースジャパン
    正式名はワーナーブラザースジャパン合同会社。2016年にワーナー エンターテイメント ジャパン株式会社を組織変更し設立されました。
  • ウェンディーズ
    正式名はウェンディーズジャパン合同会社。2009年に全店が閉店し、2011年に再上陸した際に合同会社となりました。
    現在はファーストキッチンの株を取得し傘下に収め、『ファーストキッチン・ウェンディーズ』として店舗を展開しています。
  • 西友
    正式名は合同会社西友。今回紹介する中で唯一の外資系でない企業と思ったのですが、ウォルマートストアーズに買収されていたのですね。2009年に改組し、合同会社となりました。
  • モンスターエナジージャパン
    正式名はモンスターエナジージャパン合同会社。恐竜の爪痕のようなエナジードリンクが大人気です。たまに路上で配っているますよね。
合同会社は決して小規模企業だけで利用されているわけではなく、外資系企業の多くが利用しているのです。

外資系企業が合同会社を利用する理由

合同会社はアメリカのLLCをモデルとして導入されましたが、最大のポイントの一つである税制についてはアメリカの真似をすることはできませんでした。

株式会社であろうが合同会社であろうが税制上は同じ扱いなのです。

それでも外資系企業は次々に株式会社を組織変更し、合同会社として設立ています。
僕は外資系企業が合同会社を利用する理由は大きく分けて3つあると考えています。3つとは以下のものです
  1. 出資を必要としない
  2. 法人が代表社員となることができる
  3. コストを抑えることができる
この3つのメリットがあるから合同会社を選択しているのだと思います。

出資を必要としない

株式会社を設立する場合は経営と出資は別れています。株式会社の場合は社長が株を保つ必要が無いのです。

一方で合同会社は社員が出資を行っています。つまり合同会社では東証などに上場を行って資金を調達することができないのです。

外資系企業の場合は日本で出資を募らなくても十分な資金を準備できているでしょうから、株式会社にするメリットがないのではないかと思います。

法人が代表社員となることができる

株式会社は出資者である株主と経営者である取締役、代表取締役から成っています。法人は取締役や代表取締役には会社が就任することはありません。つまり「A株式会社の社長がB株式会社」という状況は日本の株式会社ではありえないのです。
一方合同会社では出資者と経営者一体である社員、代表社員という役職となっています。そして職務執行者を定めれば法人を社員、代表社員として選任することができるのです。法人は日本の法人だけでなく、海外の法人でも構いません。つまり、海外から直接日本の法人の実験を握ることができるということです。

現在、アップルジャパンの代表社員はアップル・オペレーションズ・インターナショナルが選任されています。しかもアップル・オペレーションズ・インターナショナルというのはアメリカの企業ではなく、アイルランドの企業のです。なぜアメリカのアップルの本社が代表社員でないのかを調べたところ、アイルランドで会社を使えば税金を逃れることができるためということです。アップル・オペレーションズ・インターナショナルの実態もアメリカにあり、決してアイルランドで活動しているというわけではないようですね。

ただ、日本では特段節税ということはできないようなので目的としては違うのかなと思います。
また、出資者と経営者を一致させることで迅速な決断を可能としています。株式会社の場合だと株主総会や取締役会などのプロセスを踏まなければならないことも多く存在します。特に株主総会が絶大な力を持っていますし、株主が多ければ多いほど招集するだけでも一苦労です。
合同会社は経営と出資が一致しており、会社の形態もシンプルであるため、迅速な決断をできるのですね。

手間やコストを抑えることができる

もう一つ考えられるのはコスト面です。合同会社はとてもシンプルな会社でできる限りコストを落とすことが可能なのです。合同会社は株式会社よりも手間やコストを抑えることができます。

設立費用

株式会社を設立する場合は定款の認証(約5万円)と設立の登記費用(15万円または資本金×7/1000の多い金額どちらか)で20万円以上はかかってしまいます。一方の合同会社では定款認証の費用は不要です。かかるのは設立の登記費用のみでこちらも6万円と安いです。 ただし、資本金×7/1000が6万円を超える場合はその金額となるので外資の大きな企業はそこまで重要視はしていないと思います。

役員の変更費用

株式会社の取締役である場合、原則2年に1回は取締役の変更登記をしなければなりません。登記費用1万円から3万円程度の定額ですが忙しい人にとっては面倒な手間かもしれません。

一方合同会社は任期がありません。一度登記をすればあとは放置しておけばいいのです。

合同会社は極力手間を省いた合理的な会社なのです。

公告費用

株式会社は決算の官報などを用いて広く一般に公告しなければなりません。手数料は6万円程度と安いのですが、手間もかかるし決算を見せたくないと考える人も少なくありません。

合同会社は公告の必要はないため、外部に決算を知られることもなければ、毎年費用もかけなくていいのです。

本来株式会社は公告の義務が課されているのですが、実情は大規模な企業のみが行っており中小企業は殆ど公告など行っていません。ですが、外資系の大企業ともなると流石に法律を無視するわけにはいかないので、株式会社であれば公告を行わなければならないでしょう。

まとめ

外資系企業は非常に考え方が合理的です。極力無駄なことは省いて、できる限り迅速な行動が取れる状態を望むのでしょう。

そういった意味でも、合同会社は上場してお金を集める必要がなければ合理的な会社の形態だと思います。

もしかしたら政府の立法目的は小規模企業のためと考えたのかもしれませんが、実際は大規模な企業、特に外資系が率先して利用しています。日本人は株式会社のネームバリューがほしくて株式会社を利用しますが、本質を見れば合同会社も選択肢に入れる価値があるでしょう。

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