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アパ被害、地面師10人逮捕の事件

積水ハウスに続きアパグループも地面師の詐欺被害にあっていたようですね。時系列的にはアパグループの事件の方が先で、犯人も逮捕されています。

 大手ホテルチェーン「アパグループ」の関連会社「アパ」(金沢市)との土地取引をめぐり、偽造の本人確認書類を使ったとして、警視庁捜査2課は8日、偽造有印公文書行使などの疑いで、住所不定の会社役員、宮田康徳容疑者(55)や東京都目黒区の司法書士、亀野裕之容疑者(53)ら男女9人を逮捕した。認否は明らかにしていない。

捜査2課は、容疑者らは所有者になりすまし土地を売却し、現金をだまし取る「地面師」グループとみて、詐欺容疑でも調べる。

関係者によると、アパは東京・赤坂の土地購入のため約12億6千万円を支払ったが、法務局で登記できず土地を取得できなかった。

逮捕容疑は平成25年8月、土地の所有者から登記を移転するため、土地の相続人になりすました偽造の印鑑証明書や住民基本台帳カードなどを使い、法務局へ提出したとしている。

産経ニュース

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犯行の主犯格に司法書士と報じる

読売新聞では主犯格を司法書士と報じています。今回の件以前にも今年の2月には7000万円の不動産の詐欺容疑で逮捕されています。そのほかにも余罪があるようですね。
頻繁に懲戒を受けているようで問題のある司法書士の一人だったようです。何度も同じ手口を使っている以上は主犯格ととらえられても仕方がないでしょう。

プロをも騙す地面師

積水ハウスの件もそうですが、報道されているものは全てプロが騙されています。プロを騙すとなれば相当手の込んだ準備が周到ににされていたのであろうということが伺えます。
また、地面師の中に司法書士がいることは非常に厄介でしょう。あとで少し詳しく書きますが、プロが相手であっても地面師に司法書士がいれば騙されてしまう可能性は高くなるでしょう。

精巧な身分証明書

おそらく身分証明書や印鑑証明書などの公的書類が相当精巧に作られているものだと思われます。つまり逮捕された人間だけではできないのではないかと思います。偽造は技術が必要ですから、かなりの人数が加担しているのではないかと思うのです。
しかも今回所有者が亡くなっているということですでに発行されている権利書は必要なかったのでしょう。細かく言えば権利書は必要なのですが、相続登記が入ってない以上は取引時に必要な権利書は発行されていなかったということです。

地面師の中に専門家

不動産取引は当人だけでなく司法書士も相当慎重に相手を確認します。なぜなら、司法書士は専門家として取引の当人の本人確認をする義務があるからです。免許証のコピーをもらったり、場合によっては名前や住所、生年月日などを口頭で答えてもらって確認することだってあります。その結果当人は安心して取引をすることができるのです。
今回のケースでいうと司法書士が地面師の一味として加わっていました。つまりとても重要な本人確認の部分を司法書士が行っていたのです。こうなってしまうと買主がプロであろうとなかなか見抜けないのではないかと思います。

アパグループには司法書士がいないのか

この事件のコメントで「アパグループはお抱えの司法書士がいなかったのだろうか」というものを見かけますが、おそらくアパグループの方にも別の司法書士は付いていたものと思われます。
推測ではあるのですが、今回のケースは司法書士が2人いたのではないかと思います。一人はアパグループ側の買主代理人である司法書士ともう一人は地面師の売主代理人である司法書士です。つまり売主と買主に別々の代理人がついていたのではないかと思うのです。
そうであるとすれば、アパグループ側の司法書士は買主についての書類をそろえたり本人確認を行いますが、売主側については司法書士がついている以上そこまで慎重に調べることはありません。というよりも代理人でない以上は詳しく調べる権利もないと思うのです。もちろん免許証程度は見せてもらっているでしょうが、詳しく本人確認しているとは考えづらいです。

司法書士に何のメリットがあったのか

この司法書士は一体何のメリットがあってこのような事件を起こすのでしょうか。
司法書士は登録をしなければ業務を行うことができません。登録する際には自分の個人情報を提出しているため、登記ができないという事態が発生すれば、懲戒を受けることは間違いありませんし、何度も同じ手口で詐欺を働けば確実に逮捕されるでしょう。ばれることも確実なのになぜ罪になることを堂々と何度も行っていたのかが全く理解できません。主犯格として挙げられていたほかの人物との間で何か起こっていたのかもしれませんね。

地面師の被害にあわないために必要なこと

不動産調査を怠らない

司法書士は書面上の調査はしっかりと行ってくれますが、現地調査はほとんど行ってくれません。地面師の被害にあわないためにも現地に赴き自分の目で確認することが大事だと思います。

今回のケースはどこまで調査が行われたのかは知りませんが、現地確認が十分ではなかった可能性もあります。好物件ということで飛びついてしまったということも考えられます。

所有者は相続登記をきちんとする

今回の件も積水の件も狙われたのはお年寄りの所有する物件です。特に相続が未登記である場合は狙われやすいようです。アパグループの件も相続が未登記の物件を狙われています。
相続が未登記の物件の場合、売却する際にまず相続登記をしなければなりません。その際、亡くなった登記名義人である所有者の権利書が必要ありません。その後、売買の登記をするのですが、その時に必要な権利書は相続登記を行ったときに発行されるものとなります。
相続登記をしていない物件が狙われる理由は権利書を見せる必要がないからということが大きいのではないかと思います。
相続登記はめんどくさいですが、きちんと行い、きちんと書類を管理しておいた方がいいでしょう。
わかりやすく権利書と書いていますが、現在は権利書は発行されません。登記識別情報通知というものが権利書の代わりに発行されています。

司法書士の名前をググる

司法書士は資格を取ったからと言って司法書士業務ができるというわけではありません。
司法書士は各都道府県の司法書士会に所属します。所属した司法書士会で登録番号を割り当てられて始めて司法書士業務を行うことができるのです。
司法書士の名簿は各都道府県の司法書士会で公開されています。そこで名前を検索することで司法書士を調べることができます。
偽物の司法書士であれば、司法書士会に登録されていないためすぐに気づくことができます。
また懲戒情報については日本司法書士連合会のホームページにて確認することができます。

まとめ

地面師の被害はいつどんなタイミングで合うかわかりません。
今では地面師はプロをも騙す精巧さです。焦らせる取引には飛びつかず丁寧な調査を心がけることが重要ではないかと思います。