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大手銀行の相次ぐ住宅ローンからの撤退

ここ数日立て続けに大手銀行が住宅ローンの撤退を発表しています。UFJ信託銀行は全面撤退、みずほ銀行は地方の一部撤退を発表しました。

 三菱UFJ信託銀行が2018年4月から、住宅ローンの新規融資を取りやめる方向で検討していることが30日、分かった。資産運用や相続といった強みを持つ富裕層向けの業務に経営資源を振り向ける狙い。低金利の長期化や競争激化を受け、収益源をより収益が見込める手数料ビジネスへとシフトする。

産経ニュース

 みずほフィナンシャルグループ(FG)が、東北や中国、九州といった一部の地方で新規の住宅ローン業務の撤退を検討していることが1日、分かった。早ければ平成29年度中にも原則、受け付けを取りやめる。地方での住宅ローン貸し出しを減らす一方、地元企業の海外進出の手助けを強化し、事業の選択と集中を進める考えだ。
ネット上では批判的な声も非常に多かったのですが、銀行としては当然の判断をしたのではないかと思います。銀行は今低金利でかなり苦しめられているので、撤退はやむを得ないことだと思います。

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撤退理由

撤退の理由は一つではないと思います。様々な事情が絡み合って撤退という結論に至っていると思います。

歴史的低金利

まずは住宅ローンがあまりの低金利で全く儲からなくなってしまったからというのが一番大きな理由でしょう。10年固定で0.5%というのを聞いたときはどうかしてると思いました。これじゃあ銀行は儲からないですよね。ここまで金利が下がってしまっては今後住宅ローンには一切魅力がないと思います。
あまりの低金利に資産運用や事業への貸し出しなどほかの分野に出ていく方が利益が上がると考えても仕方がないと思います。

不動産の先行き不安

今後、不動産事情は大きな変化が起こると思います。今でさえ増え続ける空き家問題はこれからどんどん深刻化していくでしょう。特に地方はとても大変なことになると思います。みずほ銀行が地方からの一部撤退というのは地方ではもうすでに不動産の動きが鈍化しているからだと思います。都会はまだ低金利の恩恵で住宅関係の不動産は動いていますが、全体的にはピークは過ぎてしまったのだと思います。
今後は人口減少にも拍車がかかり、住宅着工戸数も右肩下がりになることは間違いありません。どんどん分母が小さくなっていくのだから撤退する銀行がどんどん出てもおかしくはないでしょう。
どんどん買いたいと思う人が減れば減るほど価格は下がります。不動産の担保価値も低下していきます。2017年は1000万かもしれませんが、本格的に人口減少が始まる2020年には750万円になることだって十分に起こりうると思います。人口推移を考えると不動産の未来が明るいとはどうしても思えません。銀行は不動産の担保価値の推移にも不安を持っているのではないかと思います。

景気の回復

ここ数年安倍政権に変わって以降、景気は回復の一途をたどっています。株価も連日21年ぶりに株価を更新していることに加え、世界経済も順調に回復をしてきています。経済が回復基調にあるのにわざわざ1%前後の収益しか上げられない住宅ローンに重きを置く必要はないのではないと考えてもおかしくありません。

世の中のお金が余り出している

不動産価格とは裏腹に世の中にお金が余り出している傾向にあると思います。一般的な家庭では給料も上がっていないのでそんなことは感じられないのかもしれませんが、一部に集中してお金が集まっているのは間違いないでしょう。企業の内部留保と家計の現預金は着実に増加しています。銀行としてはこちらのたまったお金をターゲットにして手数料を取るほうがおいしい商売と考えるのではないでしょうか。
低金利も相まってお金をただただ預けていても意味がないと感じている人も決して少なくありません。今は銀行にとってある意味チャンスの時なのではないでしょうか。

今後も撤退は増えるだろう

僕は今後も撤退が増えるだろうと見ています。不動産は市場としても飽和状態で今後住宅着工件数も間違いなく右肩下がりです。しかも今の若い人には不動産を持たないという選択肢が生まれているし、下手をすると想像以上に住宅不動産市場は小さくなんじゃないかとさえ思います。

銀行が今後、力を入れる業務

今後UFJ信託銀行もみずほ銀行も資産運用に力を入れて手数料を得る業務に集中させていくようです。ただそれだと手数料業務が主体となるため、住宅ローンに使用されていた分のお金の使い道がはっきりしません。おそらく今後の大幅な人員削減なども考慮して設備投資や開発費に資金を投入するのかなとも思っています。最近一部の証券会社などではAIに資産管理をさせるロボアドバイザーが人気を博しています。そのほかにも 革新的な発明であブロックチェーン・テクノロジーを利用した仮装通貨などにも力を入れていくものと思われます。

今後の動向には要注目

僕はまだ今後の不動産にとって明るいニュースを見つけることができていません。政府がよっぽど不動産に肩入れをしない限り、不動産は自然と価格が下落すると思います。
いままでのような銀行から大きな変革期を迎えていると思います。日本の不動産市場から金融市場や世界経済へとシフトしていくのかもしれません。
住宅ローンの撤退というニュースは今後の銀行のあり方が大きく変わる前触れとなるニュースなのかもしれないと思っています。どうなるのかまでは予想ができませんが、今後の銀行関連のニュースには注意が必要です。