相続登記に必要な書類を解説

平成29年10月3日付の日経新聞朝刊にてこのような記事が載っていました。
法務省は2018年度から、相続の手続きがされずに所有者がわからなくなった土地の本格的な調査に乗り出す。全国の司法書士らに委託し、登記簿などから所有者が生きているかを調べる。すでに死亡している場合は法定相続人をたどり相続の登記をするよう促す。
 法定相続人の一覧もつくる。地方自治体などの公共事業の担当者や所有者の親族、民間の再開発事業者などが法定相続人を調べやすくする。18年度予算の概算要求に約24億円の関連費用を盛り込んだ。
 同省の調べでは、50年以上登記の変更がない土地は、大都市で6.6%、中小都市・中山間地域では26.6%あった。所有者が亡くなったあとも手続きが取られないまま所有者不明になっている可能性がある。地方では地価が低いため、当面利用する予定のない土地は相続登記されにくい。所有者のわからない土地は公共事業や災害復旧、農地集約などの障害になる。
 不動産の相続登記が放置されたままだと、子、孫、ひ孫と相続権を持つ人が増え、さらに権利関係が複雑になる。同省は法定相続人に対応を促す必要があると判断した。

内容は所有者不明不動産が増えているので、司法書士らに委託して、不明不動産に歯止めをかけたいというものです。

テコ入れするのは大事ですが、とても対応が遅いですね。

しかも強制的な意味がない、促す程度の弱い表現にどれだけの効果があるのかは疑問です。

年々相続登記をしないでほったらかされている不動産が増加しています。

今回は相続登記を促す意味も込めて必要な書類について詳しく書いていこうと思います。

法定相続の場合と最もよく行われているであろう遺産分割協議の相続登記の必要な書類を書いていこうと思います。



そもそも法定相続とは?

法定相続というのは法律で定められた相続の割合で相続することをいいます。

例えば妻と子2人を残して夫が死亡した場合、妻の法定相続分は1/2、子はそれぞれ1/4ずつ相続のすることになります。

不動産の場合は各相続人が法定相続持分で共有するという形になります。

割合的には法定相続であっても、土地を分割してそれぞれの土地を単有で取得する場合は、遺産分割協議が必要となります。

法定相続は話し合いも一切しない相続方法ということになります。

遺産分割協議による相続とは?

遺産分割協議とは相続人間での相続分の話し合いをいいます。

相続割合は話し合いで法定相続の割合以外でも相続することが可能です。

先ほどの例の場合、話し合いで息子2人は相続せず、妻1人が全てを相続するということも可能なのです。

共通して準備しなければならない書類

まずは法定相続と遺産分割協議による相続で共通して必要な書類から確認したいと思います。必要書類は以下の通りです。
  • 登記申請書
  • 戸籍謄本
  • 被相続人(亡くなった方)の住民票の除票
  • 住民票の写し
  • 不動産の評価証明書
一つずつがどのような書類なのかを確認しながら見ていくことにしましょう。

登記申請書

登記申請書というのは不動産登記を行う際に必ず作成しなければならない書類です。

これは売買の時であろうが贈与の時であろうが必ず必要となる書類です。

雛形が法務省にありますので、詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。

戸籍謄本

次に戸籍謄本です。
こちらは大きく分けて2種類の戸籍が必要となります。

一つ目は亡くなった方の出生から死亡までが記載されている戸籍(被相続人の戸籍)です。

戸籍というのは戸籍法という法律のもと作成されています。改正が行われるたび、戸籍は再編成され新しい戸籍が生まれます。(改正原戸籍)

本籍地を他の市区町村に移動させた場合も新たに作成されるため、出生から死亡までの戸籍は複数通となるのが通常です。

戸籍はかなり複雑なため、別の機会にできる限り詳しく解説をしてみたいと思います。

もう一つは相続人の戸籍謄本です。先ほどの例で言うと妻と子の戸籍が必要となります。

相続人の戸籍は最新の現状を示す戸籍だけで構いません。

相続人が死亡し、代襲相続や数次相続が発生している場合は、死亡した相続人を確定する必要があるため、死亡した相続人の出生から死亡までの戸籍も必要となります。

こうなってくると、戸籍収集はかなり大変な作業になります。

戸籍を取得できるのは本籍地と定めている市区町村役場になります。住所地では取得できませんので、気をつけましょう。

戸籍謄本はすべて集めると数万円になることもあり、意外と費用がかさみます。

相続登記を放置すれば放置するほど戸籍がたくさん必要になる事があるので、早めに処理してしまうことをオススメします。

被相続人の住民票の除票(戸籍の附票)

次に亡くなった方の住民票の除票が必要となります。

なぜ必要になるかと言うと、亡くなった方が本当に所有権の登記名義人であるかを確認するためです。

登記事項として記録されている所有者の住所と名前一致しているかを確認するために必要となるのです。

もし住所が異なれば、登記記録上の住所が記載されている住民票の除票や戸籍の附票が必要になります。

ただ、住民票の除票の保存期間は5年と非常に短く、あまり放置しておくと取得できない可能性も出てきます。

取得ができない場合には権利書をつけたり、上申書を書いたりして被相続人が所有者であったことを別の形で証明しなければなりません。

何度も住所が変わっているという場合は『戸籍の附票』という本籍地に登録された住所の情報が便利になります。

こちらは除籍となってから5年間保管という保存期限ですが、住民票の除票よりも長く保存されていることが多いため、おすすめです。

住民票の除票は住所が登録されていた住所地の市区町村役場、戸籍の附票は本籍地で取得することが可能です。

所有権を取得する人の住民票の写し

法定相続であれば相続人全員、遺産分割協議によるものであれば所有権を取得する相続人の住民票の写しが必要となります。

不動産登記では所有者の住所は登記事項となっているため、所有者となる方は住民票を添付する必要があるのです。

これは売買や贈与などでも同じことが言えます。所有者となる買主、受贈者は住民票が必要となります。

不動産の評価証明書

不動産登記を行う際は登録免許税という税金がかかります。

登録免許税は相続税とは全く別物です。所有者を登録する費用だと思ってください。

登録免許税を計算するためには不動産の評価証明書というものが必要となります。

これは市役所や区役所で発行してもらえます。

遺産分割協議がされた場合に必要な書類

法定相続で登記を行う際は上記の書類があればよいのですが、遺産分割協議を行う際にはさらに書類が必要となります。プラスで2点の書類を準備しなければなりません。

  • 遺産分割協議書
  • 印鑑証明書

遺産分割協議書

法定相続以外で相続をする場合には遺産分割協議を行う必要があります。

たとえ金額に置きなおせば対等となったとしても個別に相続する場合、必ず必要になります。

例えば相続人がA,B,Cの3名である場合に、預金はA、株はB、不動産はCといった具合に相続財産を個別に相続する場合には必ず遺産分割協議が必要となります。

たとえその額が同等の額であっても必ず必要となります。

金融機関もほとんどの場合、遺産分割協議書を用意しないとお金をおろすことを許してくれません。

遺産分割協議書はあくまで不動産登記を行うもののためなので、総財産である必要はなく、不動産のみの遺産分割協議書で問題ありません。

不動産だけでも先に協議を済ませておくということも可能です。

印鑑証明書

不動産の所有者となるもの以外相続人は遺産分割協議書に実印を押す必要があります

実印である証明として印鑑証明書の添付が必要となります。

所有者となる相続人に関しては不動産登記上、実印である必要ありません。

ですが、金融機関によっては遺産分割協議書は全員が実印でなければならないとしていることもあるため、全員が実印を押して、印鑑証明書をとっておいたほうが、後々面倒なことにはならないと思います。

そのほかの必要な書類

そのほかにも実はまだ必要な書類がいくつかあります。場合によっては必要となることもありますので確認する必要があるでしょう。
  • 権利書
  • 上申書
  • 相続関係説明図

権利書

まずは権利書です。

基本的には不要なのですが、例外的に必要な場合があります。

それは亡くなられた方の不動産登記上の住所と最後の住所がつながらない場合など書類が完全にそろえることができない時に、法務局から『権利書をつけてください』と言われることがあります。

添付は必要ないことが多いのですが、物件を確認するためにも一度目を通しておくのもよいかもしれません。

上申書

上申書も同じく書類がそろわない場合などにそれを補完するために添付する必要が出てくる書類です。

この辺りは確定的な添付書類ではなく、各法務局で言うことが異なるので、法務局で登記官の支持を仰ぐのが最も正確です。

書類が揃わない自体の場合は面倒ですが、一度法務局に足を運ぶ方がよいでしょう。

相続関係説明図

戸籍謄本を添付して申請する場合に、相続関係説明図を添付しておくと戸籍謄本すべてを返却してもらうことができます。

戸籍謄本は意外と馬鹿にならない金額や時間、労力がかかりますので相続関係説明図は作成して添付しておいた方がいいと思います。

終わりに

今回は不動産登記だけの話でしたが、これだけたくさんの書類を用意する必要があります。

しかも今回はあくまで法定相続と遺産分割協議の場合に限定して書きました。

遺言書が合った場合や調停になってしまった場合などは添付書類が異なります。

一言で相続登記と言っても、なかなか簡単には説明できません。一度法務局に足を運んで、難しいと思えば司法書士など専門家に依頼するのが得策でしょう。

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