法律

不動産を相続したくない理由

我が家は賃貸生活をしています。不動産を買わないと決めてからは不動産について悩むことがなくなり気持ちがスッキリとしました。今後住宅ローンに悩まされることもないのは今後の生活にとってかなり大きなことだと思います。

一方で夫婦ともに両親はマイホーム持ちです。いずれは相続の話し合いをすることになるでしょう。できればきちんと処分までしてほしいと思っていますが、おそらく遺言書なども書いていないんじゃないかなと思います。

相続の話ってとっても難しいんですよね。あまりにも淡々と話をするとすごく冷たい印象を受けると思います。自分の相続はきちんとしておこうと思えるのですが、両親には直接言いづらい部分ではあります。

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不動産は資産と言っても良いのか?

親族が亡くなると、遺産の問題は切っても切れない話だと思います。現預金、株、不動産とすべて相続財産なのです。相続財産の中で最も厄介なのは不動産です。

最近の不動産状況をみると、果たして「不動産は資産」という考え方に僕は大きな疑問を感じています。なぜならば多くの人が持つ不動産は生活するためのものだからです。

核家族化ですでに住処がある人にとって不動産を相続するということが資産が増えると言って良いのでしょうか。むしろ固定資産税や、維持管理費など支出が増える負債と考えてもいいのではないでしょうか。

最近は老朽化した空き家の取り壊しで行政代執行が行なわれるケースも出てきています。空き家のまま放置しておくのは固定資産税を安く抑えておく手段とされることもあります。このような空き家のまま放置状態になってしまっている物件は相続人にとっては価値どころか負債であるケースも少なくないでしょう。

もちろん、都会にある空室率の低いマンションであればそれだけ収益も上げてくれるでしょうから資産価値としても高いと言ってもいいと思います。ですが殆どの方が相続するのは被相続人が住んでいた家になるんじゃないかと思います。

生活するためと考えればそれなりの価値を見いだせるでしょうが、相続人にとって果たして価値がどれだけあるのかというのは少し疑問です。

 

近年異常なまでの空き家率となっているのは、無価値の不動産が増加しているとも言えるのではないかと思います。

不動産は不人気になる可能性

今後の不動産は資産価値としても下がってくるのではないかと思います。人口減少で今よりも流動性も失われる可能性があります。

売却しようにも売却できず、維持費のコストだけがかかってしまうことだって考えられます。

人気のある地域の不動産であれば買主がすぐに見つかるかもしれませんが、少し郊外に出てしまうと一気に需要が少なくなり、田舎に行くと売却することはかなり困難になるのではないかと思います。

 

最近は不動産を買わないという選択を取る若者も増えているようですから、不動産に対して価値があると考えている人の数は減っていくのではないかと思います。

さらに人口が減少して不動産に価値を見いだせない時代に不動産を相続させてしまうことは、無価値(維持費を考えれば負債)のものを相続人に押し付けることにもなりかねません。

相続人が複数いれば揉める

価値のある不動産を相続できると仮定した場合でも不動産を相続人に相続させることも多くの問題を発生させる可能性を秘めています。

 

不動産を相続させるとなった場合、一人であれば特に大きな問題は生まれないのですが、複数相続人がいるという時は問題が起こりえます。

なぜ揉めるのかというと、不動産の価値をどのように評価するかはとてもむずかしい問題だからです。

固定資産税や登録免許税などの計算に利用する評価額、相続財産を計算するために使用する路線価、不動産鑑定士の鑑定評価、近隣の不動産の売却価格から類推する方法など様々な種類の土地価格が存在します。

不動産鑑定士の評価は鑑定士によっても評価が異なってくるため、結局は正確な数字というものがないと言ってもいいと思います。

 

不動産を相続したいと考えている相続人は不動産を出来る限り低く計算してほしいと考えますし、その他の財産を相続する相続人は出来る限り高く計算してほしいと考えます。

鑑定士が変わるだけでも不動産の価格が変わってしまうほど価値判断の難しいものですから、不動産価格を正確に出すということがほぼ不可能なのです。

まとめ

今後の日本の人口減少などの問題が片付かない限り、不動産にはそれほど価値を見いだせないのではないでしょうか。

もし価値があると考えても、きれいに分配できない不動産を相続させることは争いを生む一つの可能性だと思います。

僕が不動産を相続したくないと考えるのはこの2つの要因があるからなのです。実家のことはお金だけで考えたくはないと思う方も少なくはないと思います。冷たいと感じるかもしれませんが、僕は相続させるということには責任もあると思っています。