以前多くの人が知らないであろう法律などで定められた株式会社のルールについて書きましたが、まだまだ山ほど会社にはルールが備わっています。今日は役員のお話を中心に書いていこうと思います。
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代表取締役の住所は絶対にばれる
役員の登録される情報としては取締役や監査役については名前のみ、代表取締役については住所と名前が登録されます。個人情報なので隠してほしいとお願いしても、会社と取引の安全性を保護する必要があるため、登録情報を隠すということはできません。
引っ越しなどで住所を変更した場合は、必ず法務局に変更の申請をしなければなりません。
もし住所変更の報告が遅れてしまった場合は登記懈怠といって罰金を支払う必要がある場合もあります。
未成年でも役員になれる
会社法331条次に掲げるものは、取締役となることができない。一法人二成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これらと同様に取り扱われている者三省略四省略
一方で未成年は法律で禁止されておらず、取締役になることができます。
お金持ちの家では、未成年の子供を取締役にして役員報酬を少額渡して節税対策を行っているということも少なくないようです。
取締役をやめられない!?
会社法346条1.役員(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役若しくはそれ以外の取締役又は会計参与。以下この条において同じ。)が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。
たまに『名前だけ貸してくれ』と頼まれて大事な書類に簡単に実印押してしまう人がいるのですが、これってめちゃくちゃ危険な行為です。多くの場合は借金の連帯保証人になるというケースですが、中には役員に就任させられていたという事態が発生することもあります。
会社の役員に就任していれば、会社の責任を負うことになるのですが、名前を貸すだけの場合でも重い責任を負う可能性があります。
むしろ名ばかり役員は責任を果たしていないと判断されて、通常の役員以上に重い責任を負うことだってあり得るのです。
怖いのはやばい会社の役員になっていると気づいても簡単には会社を辞められないことがあることです。
株式会社のルールとして会社の形態でも異なるのですが最低でも一人、取締役、代表取締役を置いておかなければなりません。
たとえ任期が切れようとも、辞任届を出そうとも、次の取締役、代表取締役が決まるまでやめることすらできないのです。
役員を継続する場合も登録(登記)が必要
株式会社の役員には任期の上限があります。任期は最大でも10年までしか引き伸ばすことができません。どんなに小さな会社であっても10年を超えては任期を伸ばすことはできないのです。
任期が到来する定時株主総会では新たに取締役を選任しなければなりません。もちろん、特別な定めをしていなければ再度同じ人が取締役となることは可能です。同じ人なら登録はしなくても良さそうと思うかもしれませんが、そういうわけにはいきません。
たとえ同じ人物が再度取締役や代表取締役になっても法務局には再度同じ人が取締役となる旨を申請をしなければならないのです。
税理士の専任の役員がある
会社法第333条1.会計参与は、公認会計士若しくは監査法人又は税理士若しくは税理士法人でなければならない。
2006年の改正で新しく『会計参与』という役員ができました。会計参与になれるのは税理士資格者、税理士法人、公認会計士資格者、監査法人のみです。計算書類を一緒に作って株主総会で作成された計算書類の説明を行うのが主な仕事となるため、経理に強い資格者しか就任することが出来ないんですね。
でも会計参与を選任している会社には出会ったことがありません。全く普及していない無駄な設置機関です。
同時期にスタートした合同会社は最近ゆっくりと広まっている気がしますが、会計参与なんかは法律に詳しい人くらいしか知らないんじゃないでしょうか。
会計参与を法律で定める辺りが法律を作る人間は世間を知らないなと思わせる部分だと思います。会社法は特に実体とかけ離れていると思います。学者さんや資格者の意見だけでなく、現場を見たほうが良いと思います。
まとめ
今回は役員のみについて書いてきましたが、他にもたくさん一般的には知られていない会社のルールがたくさんあります。