緊急事態宣言が出て、かれこれ3週間以上経ちました。
エンタメ、飲食、観光、ホテルなど人が動かなければ商売にならない業界はあっという間に大不況が襲ってきましたが、徐々に被害の影響は他の業界にも広がってきていると言っても過言ではありません。
今はまだ影響がなくても、今後はほとんどの業種で幅広く影響を受けるのではないかと予想されます。
司法書士業界もコロナショックの影響が徐々に出始めている業界の一つです。
5月1日現在徐々に影響が出ていることを肌で感じています。
このままいくと、今回のコロナの影響はとてもヤバいレベルに達する可能性があると思います。
Contents
司法書士業が大不況となる理由
決済案件の大幅な減少
司法書士業界が不況となる理由としては、不動産との繋がりが非常に濃いことが挙げられます。
多くの司法書士は、不動産登記を主軸の生業としています。
その中でも特に多いのが不動産決済案件です。
決済案件とは新築や中古のマイホーム、不動産投資物件、不動産業者の仕入れなど不動産の売買に付随する不動産登記案件のことを指しています。
今のところ、すでに契約が住んでいる案件についての決済はありますが、新規契約は大幅に減っていると聞いています。
大手仲介業などは軒並み店舗を閉め、新規契約をストップしています。
リモートワークに切り替えて、すでに契約が済んでいる案件の決済処理などは行っているようですが、緊急事態宣言以降は契約は大幅に減っています。
おそらく5月から本格的な影響が出てくるのではないかと考えられています。
新築案件も相当の遅れで倒産リスクあり
また、新築案件も建材が入荷できず、工事が滞っている状況です。
工事が滞るということは、お金の流れも滞るということです。不動産は引き渡しができて初めて代金を受領できると言ったケースも少なくありません。
小さな工務店や不動産屋だと建物完成が遅れれば遅れるほど、資金不足で倒産してしまうリスクが上がってきます。
実際中小規模の工務店や不動産屋さんは数ヶ月で資金がショートしてしまうという会社は少なくありません。
緊急事態宣言が解除されたとしても、不動産は以前のような流動性を保てるかというと非常に疑問です。
今後しばらくは経済的な不安が強まり、不動産の買い控えはさらに強まるでしょう。
こんな状況で家を買おうなんて人はほとんどいないでしょうから、不動産の売買がコロナ以前に戻るのは相当後になるのではないかと思われます。
決済業務を主軸としている司法書士事務所は非常に多いため、決済業務を中心とした事務所はおそらく大損害を被るでしょう。
法務局の人員削減、裁判所の一部業務停止
法務局では出勤人数を減らして、業務に対応しているため、登記申請から完了までの時間が異常に長くなっているケースが発生しています。
法務局によってまちまちではありますが、ひどいところでは登記完了まで1ヶ月以上かかってしまうという法務局も存在する状況です。
表題登記と呼ばれる土地の面積などの登記などについても遅れが発生しているため、測量の登記が完了せず決済ができないケースも存在してきています。
現在裁判所も業務が一部停止しています。
現在訴状は提出できますが、期日を決められないと言った状況が続いています。
私も一つ裁判を抱えていますが、現状裁判所から期日の延期の連絡はありませんが、他の事務所では連絡が入っていると伺っています。
そして、家庭裁判所も一部の業務を除いて停止しているようで、後見業務にも大きな影響が出ていると聞いています。
さらに法テラスなども人員を削減して対応しているため、事務処理が滞りつつあります。
施設の面会拒否
また、老人ホームなどの施設もクラスター発生防止のため、面談が全くできない状態となっています。
後見人として会うこともできないし、不動産の売却が決まっていても、司法書士が本人に会うことができず手続きが進めないというケースも発生しています。
会うことができないので、新たに後見人の選任申立てもできないと伺っています。
私も面談が必要となるケースで、面談ができないのでストップしてしまっている案件を抱えています。
つい数年前に巨額の地面師の事件が発生していることもあり、本人確認は厳格化している最中でした。
司法書士にとっては地面師の記憶に新しい事件でもあり、本人確認の重要性を再認識した事件でもありました。
終わりに
最も被害を受けるであろう事務所は決済事務所でしょう。
軒並み大変なことになることは間違いありません。特に大手事務所や年配の先生が経営されてい事務所は身動きが取れず苦しい状況になるのではないでしょうか。
年配の先生はこれを機会に事務所をたたむ人も出てくるのではないかと思います。
今後、司法書士の雇用状況にも大きな影響を与えることは間違いありません。たとえコロナが落ち着いてもすぐに回復するとは考えにくいので、司法書士のあり方も大きな変化を求められるのではないかと思います。
債務整理、後見業務を中心とした事務所も決済事務所の介入があるでしょうから小さくなってしまったパイの食い合いは激化するのではないかと思います。
小さくなってしまったパイの食いあいが激化し、今後しばらくは司法書士は苦しい状況になるのではないかと思います。