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所有者不明土地問題(未登記)、規模は6兆円!?

不動産の新しいニュースが出ていました。ずっと言われている、未登記物件の問題を試算したということでニュースとなっていました。このブログでも触れている未登記の問題が一大事として問題提起したい様子がうかがえます。

 増田寛也元総務相ら有識者でつくる民間の研究会は26日、所有者不明の土地が2040年に全国で約720万ヘクタールに達するとの将来推計を発表した。

北海道本島の面積(約780万ヘクタール)の約9割に相当する数字で、経済的損失は累計で約6兆円に上ると試算した。

研究会は、相続登記が適切に行われていないなどの理由から、所有者が直ちに判明しなかったり、分かっていても連絡が付かなかったりする土地を「所有者不明土地」と定義した。

今後の死亡者数とアンケート調査に基づいて算出した相続未登記率の将来予測を用いて、40年までに約310万ヘクタールの所有者不明土地が新たに発生すると予測。研究会が6月に公表した16年時点の推計値の約410万ヘクタールを足すと、約720万ヘクタールに達する。

経済的損失については、土地を利用する場合に所有者を探し出すコストや、放置されて農業や林業の生産性が上がらないことによる損失額、税の滞納額などを算出して足し合わせた。その結果、16年の経済的損失は約1800億円。人口減少などに伴い所有者不明土地は今後加速度的に増加していくことから、40年の損失額は約3100億円に膨らむ。17年から40年までの累計では約6兆円の損失額になると試算した。

時事通信

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団体

所有者不明土地問題研究会という民間団体の発表です。税理士会や司法書士会の理事も参加している団体のようです。
代表は増田寛也さん。総務大臣を務めていた有名な方ですね。小池百合子さんの対抗馬として自民党推薦で都知事選にも出馬していたが惜しくも敗れていましたね。
団体はまだ発足してそれほど時間は経っていないようです。
所有者不明土地についての実態調査を行うい、国民にわかりやすく掲示して問題提起をすることを目的とした団体です。
このままいくと 所有者不明の土地の割合は 2040年には410万ヘクタールに達し、北海道の大きさに近づくとの予想を発表しています。

6兆円の根拠

経済的損失はそこから生み出せる生産量や、所有者を探し出すコストから2016年だけでも1800億円とされています。 40年までに6兆円の損失が出ると試算したとのことですが、詳しい試算方法は発見することができませんでした。どんなに不動産が活性化していても損失が0になるというのはありえないですし、これが大きな数字かどうかもいまいちわかりませんでした。
とにかくこのままでは損失が大きくなる一方だということなのでしょう。
1800億円という試算は全くあてにはならないと思いますが、眠った不動産がたくさんあることは間違いありません。6兆円は目安として考えれば十分だと思います。

不明所有者が増える理由の推測

僕は不明所有者が増える理由に役所の書類の保存期間の短さにあると思います。
市役所や区役所では住民票や戸籍関係の書類を発行してくれます。戸籍の保存期間は除籍になってから80年だったのが150年まで延長されたことでかなりそろえて取得することができるようになったのですが、住民票は除票になってからわずか5年しか保存していません。それ以降は除票に関しては取得のしようがないため、とても困った状況を生んでいるのは間違いありません。
不動産は所有者と取得当時の住所を登記することとなっていますが、登記をしなければならない期限を定めていません。実際引っ越しをして住所を変更していてもあわてて不動産の住所を守勢する必要がないのです。相続登記においても期限が定められていない以上は放置しておいていいルールとなっているのです。
とくに住所変更についてはわざわざ登記しようと考える人が非常に少なく、登記の専門家である司法書士ですら住所変更登記は急ぐ必要がないと考えている方が多いような気がします。
その結果古い住所で放置されている登記の所有者の所在はわずかの期間で不動産の謄本からは確認が取れなくなってしまうのです。
まずは不明者となる数を減らすことを考えなければならないと思います。そのためには最低でも30年程度は所有者の情報が取得できる環境を整えるべきだと思います。
紙ベースで保存していた時代はどこかで区切りをつけなければ保存しきれないということがあったかもしれませんが、今はすべてデータ化されて管理されているので、保存期間を延長することもそこまで難しくないことではないかと思います。ほとんどの役所はまさにお役所仕事で期限がくれば即座に破棄してしまうのですが、中には臨機応変に対応している役所もあり、5年以上自主的に管理していることもあります。

未納者を調べれば何とかなると思うが、、、

また不明者の事実を一番初めに知るのは固定資産税を徴収している役所のはずです。未納となった段階で調査に乗り出せば不明者になってしまうことは防ぐことができるのではないかと思います。
未納の事実が発生すれば即座に差押え、競売などの動きを取れば一番いいとは思いますが、何かできない事情があるのかもしれません。ですが、納税は義務となっている以上、納めない方が得をしないよう厳しく取り締まるのも重要なことだと思います。

まとめ

今回は数値化したことで一歩前進のニュースかもしれませんが、まだまだ国民からするとそれがどうしたというニュースの一つなのかもしれません。ですがまだまだこれではただのニュース程度にしか考えない人も少なくないでしょう。

どれを見ても基本的には未登記等の物件に関して促すことばかり考えているようですが、価値がない不動産だから放置しているのであって、いくら促されようがわざわざ費用をかけて登記をしようと考える人は少ないでしょう。そろそろ真剣に国も話し合いを進めるべき時に来ていると思います。