数年前に、マイホームを購入しようか真剣に考えていた時がありました。
日本にいれば、大人になってマイホームを買うのはある意味当然の夢のように教わっていたように思います。
私も何も考えていなければ当然のようにマイホームの購入は検討していたはずです。でもお金が無かったこともあり、マイホームについて考えることが非常に多かった時期があります。
そんな時期に、マイホーム神話の誕生の起源について調べたことがありました。
今回は当時調べたものをもとに、マイホームの歴史についてを少し書いてみたいと思います。
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意外と短いマイホームの歴史
私が調べた限りでは、東京や大阪などの都会でマイホームという考え方が定着したのは1960年ごろになってからだということでした。
都市部ではマイホームが当たり前になってから、たったの60年しか経っていないのです。
ですが、地方では1960年以前からマイホームが当たり前でした。
地方では土地の価格が安いので、誰でも土地を持ち、家を建てることができたからではないかと思います。
お金が無ければ建築資材にお金がかけられないだけで、不動産を持つことができないことには繋がらなかったのだろうと思います。
一方で都市部では1960年以前は借家が当たり前でした。昔から都会の土地は高く、庶民が変えるようなものではありませんでした。
あの国民的アニメの「サザエさん」の原作漫画も世田谷の家は借家として描かれていました。
戦前の大阪では90パーセント近くが借家であったという記録も残っているので、戦後すぐにスタートしたサザエさんの時代では都市部で借家というのはごく当たり前な設定だったものと思われます。
⇒ 参考『http://www.denhome.jp/others/myhome-japan-history/』
マイホームについて調べる前は、都市部、地方にかかわらず、大昔から持ち家主義であったと思っていたのですが、決してそうではないようです。
マイホーム思想が広まるきっかけ
都市部では戦後すぐ、マイホーム思想はほとんどありませんでした。
住宅ローンなどの融資についても十分な法整備がされておらず、簡単には融資を受けることもできなかったようです。
マイホーム思想が広まるきっかけは、集団就職で地方から都心部にたくさんの若者がやってきたことが大きな要因だと考えられています。
当時は地方で農家を継ぐことができるのは長男だけでした。次男は一から生計を立てなければならなかったのです。
そのため長男ではない兄弟たちは集団就職により都会に進出していたのです。
集団就職があることで、たくさんの住宅を供給しなければならなくなりました。
ここからは推測になりますが、当時の日本の状況を想像すると、公営住宅ばかりにお金を投じるのは難しい状況にあったのかもしれません。
そのため個人のマイホームへの購買意欲を刺激して、所得の前借りをさせることで経済成長につなげていったのだと思います。
実際にそのことから法整備が行われ、次々にニュータウン開発が行われています。 政府の後押しと集団就職による地方のマイホーム思想が相まって、住宅開発は次々に進んでいったものだと考えれられます。
戦前の法律では、家督相続が当たり前でした。家督相続は長男が単独で全てを相続することが当たり前となっていました。
高度経済成長で急激な物価上昇が起こる
戦後日本はすごいスピードで経済成長をしていきました。その結果インフレが進み物価はどんどん上昇していきました。
不動産価格も物価上昇と同様、凄まじい勢いで上昇していきました。 人口増加による急激な経済成長はどんどん日本を豊かにしていきました。
1960年代には住宅地の地価変動率は非常に高いものとなっていました。土地は何も考えず、所有しているだけで価値は上昇していったのです。
上昇率は高いときで年40%を記録しており、銀行金利よりも借金してでも不動産を持つほうが資産は増えていったのです。そのため『マイホーム神話』の価値観が定着していったのではないかと思います。
国策としてマイホームを推し進めた
こういった人の流れ、物価の上昇に乗じて政府としても不動産購入をどんどんすすめていきました。
法整備を勧めてニュータウン計画を次々に打ち出して行き、国民に新しい住居を次々に提供していきました。
実際、国の住宅ローンの貸付である住宅金融公庫のシェアが2000年に入ってからも40%握っていました。
この数字だけでもいかに国が住宅をもってほしかったかがわかるのではないでしょうか。
1960年あたりから住宅着工件数も右肩上がりに増加し、ピーク時には1972年に1,905,112戸と年間200万戸に近づく勢い住宅の建築は増えていきました。
現在でも住宅着工数は減少しているものの、出生数と同等程度の件数は維持しています。
マイホームの今昔
高度経済成長時代は皆どんどん所得が増えて、物価もどんどん上昇していたのでマイホームを買うのは一つの選択として正しかったのかもしれません。
不動産を持っていただけで価値が上がった時代に不動産神話が誕生したことも頷けます。
当時、公的資金を間接的に投入して不動産価格は上げられていたとも言える状況だったので、買っても損はしない人が多かったのでしょう。
ですが今の時代は、当時の状況とかなり異なります。
1980年に購入した不動産の価格は若干上昇してはいますが、都市の一部の銀座などではバブル期を超える高騰を見せていることを考えると全体敵にはの土地価格は横ばいか下落傾向にあるとも考えられます。
つまりバブル崩壊後の30年以上不動産の価格はほとんど上昇していないのです。
むしろ固定資産税を払い続けている分資産としてはマイナスになっているかもしれません。 一方で株価を見てみるとアメリカではダウ平均は963ドルから22000ドルまで上昇しています。日経平均も7000円から20000円程度まで上昇しています。 昔はマイホームを持つだけで資産が増えましたが、人口減少などの要因を考えると、不動産の価格は見込めるかどうかは非常に疑問です。
私はマイホームについて調べた結果、どうやらマイホーム神話は作られた神話であると感じました。
感じ方は人それぞれなので、私の感覚が正解と言うわけではないですが、一つの意見と捉えていただけると幸いです。
終わりに
マイホーム神話は農耕民族の日本人特有のものではなく、国策的に行われたのが真実だと思います。
国策として行った結果、高度経済成長の手助けをしてくれたのは間違いありません。
1960年代、マイホーム神話は経済を支えるために必要であったことは否定できません。ですが2017年以降、人口減少、空き家問題を抱えた日本ではそろそろ見直すべき考え方だと思います。