先日為末大さんの「諦める力」という本を読みました。
2013年にプジデント社より発売され、結構売れたんじゃないかと思います。
僕自身聞いたことがあったし、読みたいと思っていた本でした。
為末さんのTwitterを見ていても根性論ではなく、非常に理論的で知的な方だと思っていたので、興味のある本でした。
Contents
為末大さんとはどんな人?
為末大さんは400mハードルの日本記録保持者で、現在はコメンテーターや指導者としても活躍しています。
最近の若い子はもしかしたら知らないかもしれませんが、世界陸上で2大会連続、銅メダルをとるほどの実力者で世界的にもすごい人なんですよ。
中学生からの頃から有名選手で、全日本中学校選手権では100m、200mで優勝し、2冠を達成するほどの実力者でした。
ですが、高校生になり、肉離れなどの怪我を繰り返す為末さんを見かねた先生の説得もあり、400mハードルへと転向することとなりました。
結果、25年もの間世界で通用するアスリートとして活躍することができた、挫折の経験を経た選手なのです。
諦めるは逃げることではない
この本のテーマは『諦める』です。
諦めるというのは一見、逃げることのように定義されていますが、決してそうではないと為末さんはいいます。
先程も書きましたが、彼は元々100m、200mで日本記録を出すほどの有名選手でした。
ですが、早熟だった彼は成長するに連れて徐々に短距離には合わない体になってしまったのです。
花形と言われる100mを渋々諦めたことは為末さんの大きな転機になったのです。
当時は「割り切った」「逃げた」というネガティブな感情があったようですが、時間が経つに連れて「100mを諦めて、勝つこと選んだ」とポジティブな意見を見出す事ができる様になったのです。
向き不向き
この本では、努力は必ず報われるといった趣旨には否定的です。
人間には向き不向きがあり、「努力してもかなわない夢もある」、「言い換えれば成功していない人は努力をしていない」と超正論を語っています。
人には向き不向きがあり、向いていないことに諦めずに努力をしても、結果悲惨な現実が待っているという現状も語っています。
感想
率直な感想は冷静な分析力と決断力の高い人だと思いました。
本を読んでいると「走る哲学者」の愛称がとてもよく似合うなと思いました。
自分のことを考えてみると、僕は為末さんの言う「諦める力」は極端にないと思います。
良いように表現すると「粘り強い」かもしれませんが、最近はその「粘り強さ」が仇となって、時間をたくさん無駄遣いしているような気がしていたところにこの本はなかなか衝撃の1冊でした。
また、アドラー心理学に通ずる考え方を持っている方だなとも感じました。
第4章の「他人が決めたランキングに惑わされない」、第5章の「人は万能ではなく、世の中平等ではない」を読んでいる最中は岸見一郎さんの「嫌われる勇気」が頭にずっと浮かんでいました。
他人の評価に惑わされないことをすごく大事にしていると感じた本でした。
終わりに
この本は諦めることが下手な僕には非常に耳が痛い本でもありました。
続けることは得意だと思うのですが、やめることはすごく苦手です。
でもこの本に書いていることは決して間違っていないと思います。自分に向いていないことに目をつぶって頑張るよりも、自分に向いていることを探し出すほうが良いのかもしれないなと思いました。
30代に差し掛かり、今後の人生をもう一度よく考えようと思わせるような1冊でした。